2025年11月2日時点の情報を整理する。未発表要素は未確定とする。
基本情報
胴上げ投手は、優勝を決めた試合で最後の打者を打ち取った投手を指す日本の呼称である。公式記録の勝利投手やセーブと別概念だが、決着の瞬間の主役として報じられることが多い。今回の話題はワールドシリーズ第7戦の締めを担った投手と、その評価の文脈に直結する。
いまの話題
日本時間11月2日、トロントのロジャースセンターで行われたワールドシリーズ第7戦は、ドジャースが5対4で勝利し連覇を達成した。9回途中から救援した山本由伸が延長11回まで無失点で投げ切り、最後は遊撃のムーキー・ベッツが6-4-3の併殺を完成させて試合を締め、胴上げ投手になった。11回表の決勝点はウィル・スミスのソロ本塁打である。
ミニシーンでは、11回裏一死一三塁の場面で一塁寄りに守るベッツが正面のゴロを素早く二塁へ送り、二塁手が一塁へ転送してダブルプレーを完成、マウンド脇で山本と捕手が抱き合った。
最近の流れ(直近1週間)
11月2日(日本時間)第7戦、ロジャースセンターでドジャースが5対4。山本由伸が中0日で2回2/3無失点、胴上げ投手となりシリーズMVPに選出された。
11月1日(日本時間)第6戦、山本は6回96球1失点で勝利投手。シリーズは3勝3敗のタイに戻った。
10月下旬の第2戦、山本は9回1失点の完投勝利。4安打に抑える快投で流れを呼び込んだ。
数字で見る胴上げ投手
5対4=最終スコア。第7戦(日本時間11月2日)での決着、敵地ロジャースセンターでの1点差ゲームである。比較対象はシリーズ他試合の平均得点差で、最小幅の緊張感が続いた。
2回2/3=第7戦で山本が投げた救援イニング。中0日での無失点登板という条件付きの公表値で、同点からのリリーフとして価値が高い。
3勝・防御率1点台前半=山本のシリーズ成績(第2戦完投勝利、第6戦先発勝利、第7戦救援勝利)。母集団はワールドシリーズ7試合、比較は2001年のランディ・ジョンソンの3勝に並ぶ大台である。
11回表の1点=ウィル・スミスの決勝ソロ本塁打。時点は延長11回、母集団は打席1、比較は9回のロハスの同点弾で、終盤の単発長打が勝敗を分けた。
16年ぶり2人目=日本選手のワールドシリーズMVP。前例は2009年の松井秀喜で、投手では初の快挙と位置付けられる。
反応の要点
受け止めが分かれた理由
X上では「伝説になれ」というフレーズが並び、松井秀喜以来のMVPに重ねる称賛が目立った。一方で用語の受け止めでは、胴上げ投手は勝利投手やセーブと何が違うのかという素朴な疑問も出て、2013年レッドソックスの上原浩治の“最終登板”と比較する声が挙がった。さらに中0日の投入判断について、9回の満塁危機に投じたリスクと、延長をまたぐ価値のどちらを重く見るかで議論が割れた。
現場の視点
ドジャースは9回一死満塁で山本を投入し、落ち着いた制球とゴロ誘導でしのいだ。延長11回裏は先頭打者の二塁打と犠打で一死三塁、四球で一三塁の局面を作られたが、遊撃ベッツを軸に二遊間の連係で併殺を成立させた。敵地ロジャースセンターの人工芝と送球の走りも考慮に入れた守備配置で、打球処理の所作が流れを支えた。
出典と表記
数字は球団・米主要メディアの試合記録に基づく。胴上げ投手の表記は日本のスポーツ報道で用いる便宜的な呼称で、MLBの公式記録は勝利投手・セーブ・ホールドで整理される。そのため「胴上げ投手=勝利投手」とは限らない点を本文で明確にした。
【用語】胴上げ投手
優勝決定の最終打者を仕留めて試合を終わらせた投手の日本的呼称。物理的な胴上げの有無に関係なく用いる。
【用語】ワールドシリーズMVP
ワールドシリーズで最も活躍した選手に贈られる賞。日本選手の受賞は2009年の松井秀喜と2025年の山本由伸の2例が確認できる。
【用語】中0日
前回登板から休養日を挟まず即日登板すること。先発投手では負荷が高く、短い救援イニングでの起用が前提になりやすい。
いま押さえる要点
確定:第7戦はドジャースが5対4で勝利し、山本由伸が胴上げ投手かつシリーズMVPになった。
確定:決勝点はウィル・スミスの延長11回ソロ本塁打で、最後は6-4-3の併殺で試合終了した。
未確定:細かな守備位置の意図や配球の狙いは、コーチの振り返り取材で変わり得る。公式の追加解説待ち。
補足:MVPが日本選手では松井秀喜以来で、投手としては初。「胴上げ投手」という呼び名は日本の報道文脈で使われる。