ガソリンの「暫定税率」がついに廃止へ?暮らしと財政を揺るがす1.5兆円の攻防

暫定税率」ってなんだったの?なぜ今、廃止が注目されているのか

1974年に導入された「暫定税率」は、当初はオイルショック対応の“つなぎ”として始まった税制度です。ガソリンに対して、本来の税率(24.3円/L)に加えて25.1円が上乗せされ、さらに地方税(5円)を加えると、1リットルあたり30.1円が余分にかかっている計算になります。
この制度はその後も“暫定”のまま40年以上継続され、「二重課税」や「不透明な財源」として批判されてきました。
2025年7月、野党8党(立憲民主党、維新の会、国民民主党共産党、れいわ、参政党、日本保守党など)が11月1日付の廃止に向けて一致したことで、大きな注目を集めています。

家計は本当に助かる?ガソリンが30円安くなる仕組みとその試算

ガソリン税から「暫定税率」部分がなくなると、理論上、1リットルあたり最大30.1円の価格引き下げが可能になります。
月に50リットル給油する家庭であれば、年間で約1万円の負担減。特に通勤や買い物で車を頻繁に使う地方在住の家庭には、大きな助けとなるはずです。
さらに、物流コストの低下が期待され、食品や生活用品の価格にも波及効果があるかもしれません。

税収は1.5兆円減る?「5000億円」「1兆円」という数字の意味と誤解

今回話題の中心である「1.5兆円」という数字は、暫定税率によって年間に得られている税収の規模を示しています。
ただし、現在すでに10円/Lの補助金が支給されていることから、政府の支出は年間約5000億円規模にもなっており、「実質的にはすでに減税に近い状態」という見方もあります。
しかし、補助金をなくし、税制を根本から改める場合、恒久的な財源対策が不可欠。年金や医療、教育分野への影響を懸念する声も出ています。

ネットの反応:「やっとか」「選挙前のポーズ?」期待と疑念が交錯

X(旧Twitter)上では、さまざまな意見が交わされています。

  • 「やっと暫定税率を廃止する流れになった。去年の合意をようやく守る形」
  • 「年間1万円の減税になるなら歓迎。でも、他の税で回収されるなら意味ない」
  • 「選挙前だからパフォーマンスに見える。与党が本気で協力するか不安」

多くの人が歓迎の姿勢を見せつつも、政策実現の信ぴょう性や財政面の裏付けには厳しい目を向けているようです。

実現は本当にできる?法案提出と政治の駆け引き

この廃止案は、8月召集予定の臨時国会での法案提出を目指しています。
しかし、与党がどのような対応を取るかは未定で、過去には同様の廃止提案が骨抜きにされた経緯もあります。
実現には、国民世論の後押しと、野党の団結力、そして与党との交渉力が求められます。

結論:30円安くなる未来は、選択と覚悟の先にある

ガソリンが30円安くなるというのは、家計にとって魅力的な未来です。
しかし、それを実現するには、財政とのバランスや政治的な覚悟が必要です。
単なる人気取りではなく、生活と国の未来を見据えた本気の政策であるかどうかを、私たち有権者も見極めていく必要があります。