Yahoo急上昇ワードに「石破やめろデモ」と「石破やめるなデモ」が同時に浮上し、SNSでは賛否が交錯しています。まったく逆のスローガンが並んで話題になるという、ちょっと奇妙な状況。では実際に何が起きているのでしょうか。
首相官邸前で行われた「石破辞めるなデモ」
7月25日夜、東京・永田町の首相官邸前で「石破辞めるな」と書かれたプラカードを掲げるスタンディングデモが行われました。
この行動は「抗議」ではなく「激励」。参加者は必ずしも自民党支持者ではなく、野党支持層も含まれていました。
彼らが求めたのは「石破続投」。理由は「今より悪化するのは困る」「少なくとも言葉が通じる政治家」という相対的な評価です。
- 23歳男性:「政権交代がベストだと思うが、今すぐではない。これ以上悪くなってほしくない」
- 70代派遣社員:「排外主義や戦争の不安をなくしてほしい」
- 20代大学生:「辞めてしまえば、もっと右傾化する不安がある」
「石破やめろデモ」の正体
一方で「石破やめろデモ」という言葉もX(旧Twitter)上で拡散しています。動画や画像が投稿され、「鳥取でやめろコールが上がった」といった報告も見られます。
しかし実態としては、SNSでの拡散が中心で、規模や裏付けは確認が難しい状況。中には「アルバイト動員説」「メディアが隠している」といった陰謀論めいた投稿も混ざり、現実のデモとしての証拠は弱いといえます。
世論調査に見える支持率の変化
注目すべきは世論の変化です。8月に実施された複数の世論調査では、石破内閣の支持率が軒並み上昇。
- 共同通信:支持率35.4%(前月比+12.5ポイント)
- 読売・NNN:支持率39%(+17ポイント)
- 朝日・NHK調査でも同様の支持率上昇が確認
「辞めるべき」と答えた人は減少し、「辞めなくてよい」が過半数に達しました。この流れは、官邸前での「辞めるなデモ」と呼応しているようにも見えます。
ネットの反応の温度差
SNSでは様々な声が飛び交っています。
- 「やめろデモなんて存在しない」
- 「アルバイトで動員されているのでは?」
- 「メディアが『辞めるな』しか報じないのは偏向だ」
- 「支持はしてないが、石破はまだマシだと思う」
- 「官邸前で見たけど、みんな必死に訴えていた」
ネット空間では「やめろ」と「やめるな」がぶつかり合い、互いに相手の正当性を疑う声も目立ちます。
結論:政治の「揺れ」は賛否以上に複雑
今回の現象は、「辞めろ」と「辞めるな」が同時に存在するという異例の構図を浮かび上がらせました。背景には単純な支持・不支持を超えた感情があります。
「今より悪化を避けたい」「よりマシな選択肢を残してほしい」――これは賛否二元論では測れない、市民の不安と希望が交錯した声です。
政治の評価は白か黒ではなく、グラデーションの中で選び取られるもの。今回のデモとネット論争は、そのことを改めて示したといえるでしょう。