2025年12月13日、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』が第170話「僕のヒーローアカデミア」をもってついに最終回を迎えた。
放送と同時に「ヒロアカ最終回」「#最高のヒーローになるまでの物語」「堀越先生」などのワードがXのトレンドに並び、タイムラインは「最高の物語だった」「涙が止まらない」「この作品に出会えてよかった」といった感想で埋め尽くされた。
アニメだけでなく、原作漫画はすでに2024年8月5日発売の『週刊少年ジャンプ』36・37合併号で完結しており、10年以上続いた一つの“時代”がここで区切りを迎えたことになる。
本記事では、アニメ最終回で何が描かれたのかをざっくり整理しつつ、原作との関係、ネットの反応、そしてヒロアカワールドの今後についてまとめる。
※この記事はアニメ最終回および原作最終話までの内容に触れる。未視聴・未読の人はネタバレに注意してほしい。
まず結論:ヒロアカは“終わった”けれど、物語は続いていく
『僕のヒーローアカデミア』の原作漫画は、2014年7月7日発売の『週刊少年ジャンプ』32号から連載が始まり、2024年8月5日発売36・37合併号の第430話で完結した。
TVアニメは2016年4月に第1期がスタートし、通算8期目となるFINAL SEASONが2025年10月4日から放送、12月13日の第170話で物語に幕を下ろした。
最終回で描かれたのは、最終決戦の“その後”だ。デクと死柄木、オールマイトとオール・フォー・ワンの死闘が終わった世界で、雄英高校の生徒たちはそれぞれの道へ進み、デクはプロヒーローではなく雄英の教師として、次の世代を育てる立場を選んでいる。
それでも彼の中の“ヒーロー”は消えていない。転びそうになった子どもを条件反射で助けに走り、かつてオールマイトに言われた言葉を今度は自分が口にする──「君はヒーローになれるよ」。
そこで一度、「これは僕たちが最高のヒーローになった物語」と自らの物語を締めくくろうとするデク。しかし、AFOとの戦いで得られたデータをもとに、メリッサや発目、そしてかつての1年A組メンバーが共同で作った新たなヒーロースーツが彼の前に差し出される。
スーツを身にまとい、再び走り出すデクの姿とともに、物語は「終わり」でありながら、「これからも続いていく」という余韻を残して閉じる。
ヒロアカは、キャッチコピーとして「これは、僕が最高のヒーローになるまでの物語だ」とたびたび語られてきた。
しかし最終回で彼が口にしたのは「これは僕たちが最高のヒーローになった物語」。
“僕が”から“僕たちが”へ。個人の成長物語として始まった物語が、仲間や社会、次の世代まで巻き込んだ物語へと広がって終わったことが、この一言に集約されている。
| 項目 | 内容 | ステータス |
|---|---|---|
| 原作漫画の完結 | 2014年7月7日発売の『週刊少年ジャンプ』32号から連載開始し、2024年8月5日発売36・37合併号の第430話で完結。単行本は全42巻で、最終42巻には描き下ろしエピローグも収録。 | 確定 |
| TVアニメ本編の完結 | アニメ第1期は2016年4月放送開始。FINAL SEASON(第8期)が2025年10月4日~12月13日に全11話放送され、第170話「僕のヒーローアカデミア」で完結。 | 確定 |
| スピンオフアニメ | 公式スピンオフ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』TVアニメ第1期が2025年4月から放送、第2期が2026年放送予定。 | 確定 |
| 実写映画化 | Netflixとレジェンダリー製作、佐藤信介監督によるハリウッド実写映画企画が進行中。公開時期など詳細は未発表。 | 確定(詳細未定) |
| 本編アニメのさらに先の続編 | デクたち卒業後を描くTVアニメ新シリーズや、劇場版第5弾といった“その先”の映像企画は、現時点で公式発表なし。 | 未確認 |
| コラボ・イベント | ジャンプフェスタ、原画展、コラボカフェ、フェスなど多数開催されており、FINAL SEASON終了後も新規イベントが継続予定。 | 見通し |
ヒロアカ完結までのざっくり時系列
- 2014年7月7日:『週刊少年ジャンプ』32号で『僕のヒーローアカデミア』連載開始。
- 2016年4月:TVアニメ第1期がMBS/TBS系列ほかで放送開始。
- 2024年8月5日:『週刊少年ジャンプ』36・37合併号で原作漫画が第430話をもって完結。
- 2025年10月4日:FINAL SEASON(アニメ第8期)が放送開始。
- 2025年12月13日:第170話「僕のヒーローアカデミア」が放送され、TVアニメ本編が完結。
アニメ最終回(第170話)はどんな内容だったのか【ネタバレ】
ここからは、FINAL SEASONの最終回・第170話「僕のヒーローアカデミア」の内容を整理する。
最終決戦後の世界と、デクたちの進路
物語は、デクがオール・フォー・ワンを打ち破り、死柄木との最終決戦が終わったあとの世界から始まる。
街はまだ傷つき、復興の最中。それでも、ヒーローたちの奮闘によって「もう一度やり直そう」とする空気が生まれている。
雄英高校では、2年・3年と時間が流れ、やがて卒業式へ。飯田が卒業生代表として答辞を述べ、爆豪がいつものやり方で場をかき回すなど、「らしさ」が詰まったラストの学校生活が描かれる。
障子は差別問題に向き合う活動に身を投じ、お茶子は“個性カウンセリング”という形で人と社会を支える道を選ぶなど、それぞれが自分なりの“ヒーロー像”を見つけている。
一方で爆豪は、圧倒的な実力を持ちながらも、あいかわらず口の悪さと不器用さでナンバーワンから遠ざかるという、ファンにはおなじみのポジションにいるのが微笑ましい。
デクが選んだのは「教師」というヒーロー
最終回時点のデクは、プロヒーローではなく雄英高校の教師として働いている。
かつての担任である相澤に「さみしくないか」と問われた彼は、相澤の姿を見て教師という仕事に憧れを抱いたこと、経験を通して誰かを励ませるなら、それもまた“かっこいいヒーロー像”だと語る。
それでも、彼の中から「現場のヒーローになりたい」という想いが完全に消えたわけではない。
街中で転びそうになった子どもを見て、条件反射で走り出してしまうデク。その隣には、同じようにその子を助けようとした少年がいる。少年は自分の個性に自信を持てず、ヒーロー科を志望しながらも不安を抱えている。
そこでデクがかける言葉が、「大丈夫。さっき、君は手を差し伸べようとしたじゃないか」「君はヒーローになれるよ」。
これは、第1話でオールマイトが無個性だったデクに向けた言葉の“反射”であり、物語全体が壮大なバトンリレーになっていたことを示すシーンである。
「僕たちが最高のヒーローになった物語」から、その先へ
少年を励ましたあと、デクはモノローグで「これは僕たちが最高のヒーローになった物語」と、あたかも物語の幕を閉じるかのように語る。
しかし、そこで登場するのがオールマイトだ。AFOとの戦いで得られたデータをもとに、メリッサや発目、そしてA組の面々が共同で作り上げた、新たなパワードスーツをデクに託す。
「ページはまだ続いているから」。
原作最終話でも描かれた“終わらない物語”というモチーフを、アニメ版はオールマイトたちの想いを乗せたスーツという形で、より具体的に視覚化してみせた。
ラストカットで、再び走り出すデクの姿。そこには、“教師”としても“ヒーロー”としても人を救い続ける、二重の意味での「最高のヒーロー」の背中が映っていた。
SNSの反応で見えた、最終回で刺さった3つのポイント
Yahoo!リアルタイム検索で「ヒロアカ最終回」を追うと、放送直後から「泣いた」「酸素が足りない」「情緒がぐちゃぐちゃ」といった感情の爆発がタイムラインを埋め尽くしていた。
X上の傾向を見ると、特に次の3点で強く心を揺さぶられたファンが多いようだ。
- ① キャラクターの“その後”が丁寧に描かれたこと…障子やお茶子、爆豪など、メインキャラだけでなくクラスメイトたちの進路や活動が具体的に描かれ、「みんな大人になってる」「それぞれの戦い方で社会を良くしようとしている」といった声が多かった。
- ② アニメオリジナルの演出や追加シーン…卒業式で「Hero too」が流れる場面や、“ババアライジング”と呼ばれるアニオリシーンなど、原作にはない演出に「ずるい」「感情が限界」といった反応が集中した。
- ③ 音楽とともに歩んできた9年間への感謝…ポルノグラフィティの「THE REVO」など歴代主題歌への言及も多く、「オープニングで一気に初期の頃を思い出した」「音楽まで含めて自分の青春だった」という感想も目立った。
また、「ヒロアカと一緒に成長してきた」「連載開始の頃は学生だったが、今は社会人・親になった」という投稿も多く、作品の“卒業”を、ファン自身の人生の節目と重ねて受け止める人が少なくなかった。
原作最終話との違いと、アニオリが補ってくれたもの
アニメFINAL SEASONは、原作の「最終決戦編(Final War)」と「エピローグ編」(第398~430話)をベースに構成されている。
基本的な流れ──死柄木との決着、デクたちの卒業式、未来へと続くモノローグ──は大筋で原作通りだが、いくつかのポイントでアニメならではの肉付けが行われている。
代表的なのは、以下のような点だ。
- 卒業式や日常パートの描写が増え、クラスメイトたちの表情や関係性がより細かく描かれている。
- こうたくんとエリちゃんの成長がアニメオリジナルの形で描かれ、「2人が雄英に通う姿に泣いた」という声が多かった。
- “ババアライジング”と呼ばれるシーンなど、原作ではさらっと流れていたテーマを強調するための追加演出が話題になった。
- 音楽面では、過去シーズンの楽曲を印象的な場面に挿し込むことで、「9年間の歴史そのもの」を感じさせる構成になっている。
一方で、原作最終話で印象的だった“ページはまだ続いている”というモノローグは、アニメではオールマイトたちが用意したスーツと、走り出すデクの姿で視覚的に表現された。
「全部を救おうとする物語だった」という読者の受け止め方を、アニメは“誰かの背中を押す尊さ”と“世代を超えて続くバトン”という形で、さらにわかりやすく伝えていると言える。
これから最終回を見る人へのおすすめ視聴ステップ
「まだ途中までしか追えていないけれど、最終回が話題になっていて気になる」「久しぶりにヒロアカに戻ってきた」という人向けに、効率よくFINAL SEASONを楽しむためのステップを整理しておく。
- まずは“どこまで見たか”を思い出す…自分が最後に視聴したのがどのシーズン・どの敵との戦いだったかをざっくり振り返り、そこからFINAL SEASONまでのあらすじを公式サイトや配信サービスのあらすじページで確認する。
- FINAL SEASON前半(第160~167話)で最終決戦を一気見…「八木俊典:ライジングオリジン」から「緑谷出久:ライジング」までが、オールマイト&デクとAFO&死柄木の決着パート。ここを一気に見ると、最終回の“あとの世界”への流れがわかりやすい。
- 第168~169話で“日常に戻る”感覚を味わう…「エピローグ/地獄の轟くん家・FINAL」「笑顔が好きな女の子」は、轟家の決着やお茶子の想いなど、長く引っ張ってきたドラマに区切りをつけるエピソード。ここを飛ばすと、最終回の感動が半減するので要チェック。
- 第170話は“ながら見”をせずに集中視聴…スマホを手放し、できればイヤホンか大きめの音量で。OP・EDやCパートまで含め、映像と音楽の情報量が多い回なので、1回目はとにかく“浴びる”つもりで見るのがおすすめ。
- 見終わったら、原作42巻と最終話を読み返す…余韻が冷めないうちに原作の最終巻・最終話を読み返すと、「アニメはここをこう膨らませたのか」「この台詞をこう解釈したのか」といった発見があり、二重に楽しめる。
最終回後も楽しめるヒロアカ関連作品・コンテンツ
「本編が終わってしまってロスがつらい……」という人向けに、これからも楽しめるヒロアカ関連コンテンツを整理しておく。
原作コミックス&ファンブック・画集
原作は全42巻で完結しており、最終巻には描き下ろしを含むエピローグが収録されている。
2025年には新たなファンブックや初の画集、原画展の開催も発表されており、紙の本や展示を通じて改めて物語を振り返ることができる。
TVアニメ全8期+劇場版4作
TVアニメはSEASON1~8(FINAL SEASON)までが各種動画配信サービスで配信中で、一気見もしやすい環境が整っている。
劇場版はこれまでに4作(『2人の英雄』『ヒーローズ:ライジング』『ワールド ヒーローズ ミッション』『ユアネクスト』)が公開されており、本編とは少し違う角度からデクたちの活躍を楽しめる。
スピンオフ『ヴィジランテ』アニメ
本編終了後も、同じ世界観を共有するスピンオフ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』のTVアニメが展開中だ。
2025年4月から第1期が放送されており、2026年には第2期の放送も決定している。
“ヒーローではない”市井の人々の視点から、ヒーロー社会の影の部分を描く作品で、本編とはまた違った切り口で「ヒーローとは何か?」を問い直してくれる。
ハリウッド実写映画化
さらに、Netflixとレジェンダリーが製作するハリウッド実写映画版『僕のヒーローアカデミア』も発表されている。
監督は『キングダム』シリーズなどで知られる佐藤信介。公開時期やキャストなどはまだ発表段階だが、世界規模でヒロアカの名前が再び広がるきっかけになる可能性が高い。
ヒロアカ最終回が残したメッセージ
最終回の余韻が強い理由は、単に“人気作が終わったから”ではなく、この作品が一貫して投げかけてきたメッセージが、最後の最後までブレなかったからだと感じる。
原作最終話でデクは、「あの日 誰もが最高のヒーローだった」と振り返る。
誰かを思い、手を差し伸べようとする気持ちそのものが、ヒーローへの一歩だという考え方は、アニメ最終回で少年に向けて放たれた「君はヒーローになれるよ」という言葉にも引き継がれている。
そして作者・堀越耕平先生は、完結に際して「皆様がヒロアカを楽しんでくれたから、僕も楽しかったです。日々を過ごす中で、たまにデクたちのことを思い出してくれたら嬉しいです!」とコメントしている。
これは、作品から読者・視聴者への“最後のバトン”のようなメッセージだ。
- うまくいかない日でも、誰かのことを思い出して踏ん張れること。
- 目の前で困っている人に、ほんの少し手を差し伸べられること。
- 自分自身の“個性”を、誰かのために使おうとすること。
そうした小さな行動一つひとつが、ヒロアカの世界観でいう「最高のヒーロー」に近づく一歩なのだと、最終回は改めて教えてくれる。
まとめ:ヒロアカ最終回は、視聴者それぞれの“オリジン”を呼び起こす回だった
ヒロアカのアニメ最終回は、ド派手なバトルで締めくくるのではなく、静かな日常と、世代を超えて続いていく“バトン”の物語として幕を閉じた。
それは、連載開始から約11年半、アニメ開始から約9年にわたって作品と歩んできたファン一人ひとりの「オリジン」を、そっと振り返らせるような終わり方でもある。
まだ最終回を見ていないなら、まずは自分がどこまでこの物語を追いかけてきたかを思い出しながら、ステップを踏んで追いついてほしい。
すでに見終わってロスに苦しんでいるなら、原作や劇場版、スピンオフ『ヴィジランテ』、これから始まる実写映画化など、さまざまな形で続いていくヒロアカワールドに触れ続けてみてほしい。
そして、ふとした瞬間に誰かの背中を押したくなったとき、「これは、僕たちが最高のヒーローになるまでの物語だった」と、この作品のことを思い出せたなら──そのとき、あなた自身もきっと、どこかの誰かのヒーローになっているはずである。