TAOアプリとは?アリババが日本市場に本格参入
2024年10月リリースで早くも注目の的
中国のアリババグループが満を持して日本市場に投入した越境ECアプリ「TAO(タオ)」が、リリースからわずか2ヶ月でApp Storeの無料ショッピングアプリランキング4位にランクインする快進撃を見せています。
TAOは、世界最大級のECプラットフォーム「淘宝(タオバオ)」で培った豊富な経験を活かし、日本のユーザー向けに特化して開発された越境ECアプリです。現在、アパレル・アクセサリー、インテリア家具、家庭用収納、バス寝具、アウトドアキャンプ、ペット用品、調理器具、オフィス用品などのカテゴリーで1000万点以上の商品を取り扱っています。
日本市場向けの徹底したローカライズ戦略
TAOの最大の特徴は、日本市場への深い理解に基づいたローカライズです。淘宝に掲載されている世界最大規模の40億点の商品から、日本のユーザーの審美眼とニーズに合わせて厳選した商品のみを提供しています。
具体的には、品質スコア、商品説明、出荷データ、評価などのビッグデータによる絞り込み、日本国内におけるオンライン・オフラインの市場調査で得たトレンド情報に基づくスクリーニング、日本の現地ファッションに精通したチームによる人力での選定という「3層のスクリーニング」を実施しています。
注目のAIコーディネート機能を詳しく解説
最新AI「Qwen」を活用した日本初の機能
2025年5月13日、TAOは日本初となるAIファッションコーディネートアシスタント機能「AIエージェント」を正式リリースしました。この機能は、アリババクラウドが開発した最新の大規模言語モデル「Qwen(通義千問/キューウェン)」をベースにしています。
実際の使い方と便利な機能
AIエージェント機能では、ユーザーの嗜好や体型、購買履歴に基づいて、最適なスタイルやアイテムをパーソナライズして提案してくれます。
特に注目すべきは画像認識機能で、スマートフォンで撮影したコーディネート写真や気になる画像をアップロードするだけで、似たアイテムを瞬時に検索できます。どこで見つけたコーディネートでも、AIがそのスタイルを読み取り、近いテイストの商品を提案してくれる革新的な機能です。
AIライフアシスタントとAI趣味マスターも導入
コーディネート機能に加えて、AIライフアシスタントとAI趣味マスターも導入されており、ディープラーニング技術の活用によって、ユーザー1人ひとりに合わせた暮らしのアイデアも提供しています。
SHEIN・Temuとの違いは?価格帯と品質を比較
価格帯の明確な違い
TAOは同じ中国系ECアプリのSHEINやTemuと比較すると、価格帯が明らかに高めに設定されています。ファッションアイテムで比較すると、TAOは2000円~50,000円以上、Temuは1,000円~5,000円程度、SHEINは1,000円~10,000円程度となっています。
例えば、似たような外観の浴室ラックを比較した場合、TAOは最も安いSHEINの2倍以上の価格になることもあります。また、カシミヤのコートや手縫いのジャケットなど、10万円以上する高価格帯のアイテムも豊富に取り揃えています。
品質重視の戦略「適正価格での高品質」
TAOブランドは「最安値」ではなく「適正価格での高品質」を追求し、日本市場向けに最適化されたコストパフォーマンスを実現していることが大きな特徴です。低価格であることよりも、素材を含めた品質に重きを置いてアパレル展開を進めています。
商品展開の違い
商品カテゴリーでも違いが見られます。
- TAO:アパレルやインテリア中心、家電や化粧品はほぼ扱わない
- Temu:家電から雑貨まで幅広いカテゴリーを展開
- SHEIN:ファッション中心だが化粧品なども取り扱い
表参道ポップアップストアで実際に体験してみた
「最高のクローゼット TAO!」をコンセプトに
2025年5月16日から25日まで、東京・表参道のベーカリーカフェ426で「最高のクローゼット TAO!」をコンセプトにしたポップアップストアが開催されています。
このポップアップストアでは、TAOが提案する最新のファッションを実際に手に取りながらコーディネートを楽しむことができます。「実用的ベーシックスタイル」「高品質通勤スタイル」「個性的なデザイン」といった主流のニーズに対応した衣料品を、多様な価格帯で展開しているTAOブランドの多様性を実際に体感できる貴重な機会となっています。
連動キャンペーンも充実
ポップアップストアの開催に合わせて、TAOアプリ内では「TAOファッションウィーク」をテーマにしたオンラインイベントも実施されています。さらに、LINE公式アカウントでは最大10万LINEポイントがもらえる抽選会や、合計100万ポイントの山分けキャンペーンなど、魅力的な特典も用意されています。
今後の展開と競合他社への影響
日本市場でのさらなる拡大戦略
TAOは今後、日本のファッション市場への展開をさらに加速していく予定です。現在、服飾類(レディース・メンズ・シューズ&バッグ・アクセサリー&ジュエリー含む)として500万点以上の商品を展開しており、毎日1万点の新商品が追加されています。
SHEINやTemuへの影響は?
TAOの市場運営責任者は「競合することはない」と明言しており、SHEINとTemuが低価格戦略を前面に打ち出しているのに対して、TAOは独自性のある良質な商品を手頃な価格で提供することを重視している点で差別化を図っています。
一方で、SHEINやTemuは米国市場で最大245%の関税と運営費用の増加により価格上昇を余儀なくされており、この状況がTAOにとって追い風となる可能性もあります。日本市場における中国系ECアプリの競争はますます激化しそうです。