2024年度に職場から失踪した外国人技能実習生の数が「9700人余」と過去最多となったことが明らかになりました。NHKの報道をきっかけに、このニュースはSNS上で瞬く間に広がり、制度そのものへの批判や外国人材受け入れの是非にまで議論が及んでいます。
なぜここまで失踪者が増えたのか。そしてこの現象は、日本社会にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
技能実習制度とは何か
技能実習制度は「途上国の人材育成と国際貢献」を目的として1990年代に始まりました。
本来は技術を学び母国へ持ち帰ることを目指す制度ですが、現実には「低賃金労働力」としての性格が強まり、国際的にも「労働搾取」「人権侵害」との批判を浴びてきました。
農業・建設・介護など人手不足が深刻な分野では、制度への依存度が高まっています。
過去最多9700人余の失踪
NHKの報道によれば、2024年度に失踪した技能実習生は9700人余で、統計開始以来最多となりました。
失踪の背景として指摘されているのは、以下のような要因です。
- 長時間労働や低賃金
- 職場でのパワハラ・セクハラなど人権侵害
- 借金を抱えて来日したものの十分に返済できない経済的困窮
失踪後の実習生は、不法就労に流れ込むケースやブローカーを介して別の職場へ移動するケースもあり、治安や労働市場への影響が懸念されています。
SNSの反応
SNSでは賛否が大きく分かれています。
- 制度批判:「制度として破綻している」「利権のために続けているだけ」
- 治安不安:「犯罪予備軍が1万人」「管理できないなら受け入れるな」
- 実習生への同情:「低賃金や劣悪な環境で逃げざるを得ない」「強制帰国させるべき」
議論は「制度の存続」か「廃止と代替策」かという根本的な問いにまで広がっています。
日本社会への影響
労働力不足に悩む地方の農業や建設業、介護現場は、技能実習生の存在なしには成り立たない状況にあります。
一方で、失踪者が増えることで不法就労や治安悪化の懸念も広がり、国民の不安感を煽っています。
制度を続けざるを得ない現実と、それが抱える矛盾が浮き彫りになっています。
今後の展望
政府はすでに「新たな外国人材受け入れ制度」の創設を検討しています。より透明性の高い仕組みや、実習生の権利保護を前提にした制度改革が求められています。
同時に問われているのは、日本社会が外国人を「労働力」としてのみ捉えるのか、それとも「共に生きる存在」として向き合うのかという大きな選択です。
おわりに
9700人余という過去最多の失踪者数は、単なる統計上の数字ではありません。
そこには「逃げざるを得なかった人々」の生活と、「制度を必要とする現場」の現実が交錯しています。
技能実習制度の限界が明らかになった今、日本社会は外国人材との共生をどのように描くのか。その答えを出す時が迫っています。