リスキリングで何を学ぶべきか?DX人材に必要なスキルや学習方法を解説

こんにちは。今回は、リスキリングという言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、リスキリングで何を学ぶべきか、DX人材に必要なスキルや学習方法について解説していきたいと思います。

リスキリングとは?

リスキリングとは、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、業務上で必要とされる新しい知識やスキルを学ぶことです。

例えば、デジタル化が進む中で、プログラミングやデータ分析などのIT関連のスキルを身につけることや、グローバル化が進む中で、英語や他の言語のスキルを身につけることなどがリスキリングの対象となります。

リスキリングは、企業が主体となって社員のスキルを持続させつつ、新たなスキルを身につけるように促すことです。仕事と並行して行うことが一般的です。

リカレント教育との違い

似たような言葉に“リカレント教育”という言葉があります。

リカレント(Recurrent)には繰り返す、循環するという意味があり、一度社会に出た人が職場を離れ、あるいは仕事と並行しながら再び教育機関で学びなおすことを指します。

リスキリングとリカレント教育の違いは以下の通りです。

  リスキリング リカレント教育
主体 企業 個人
目的 仕事上必要なスキルの獲得 自己実現や生涯学習
方法 研修やオンライン講座など 大学や専門学校など

 

リスキリングが求められる理由

リスキリングが求められている理由には、DX推進の加速によるDX人材の不足やコロナ禍での働き方、求められているビジネススキルの変化が関係しています。

DX推進によるDX人材の不足

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で、企業がデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルや組織の変革を行うことを指します。

DXの推進にあたり、デジタルシステムの管理を行うエンジニアや、情報の解析を行うデータアナリストなどDXに特化した人材が求められるようになりました。

しかし、DX化が進んでいる一方で、日本ではDXに対応できる人材が不足しているという問題があります。日本経済新聞社が2021年に行った調査によると、DXに関する人材不足は、企業の約8割が感じているという結果が出ています。また、DXに必要なスキルは、ITスキルだけではなく、ビジネススキルやコミュニケーションスキルなども含まれます。

このような状況の中で、自分のスキルや知識をアップデートすることが求められています。これを実現するための方法の一つが、「リスキリング」と呼ばれるものです。

リスキリングのメリット

リスキリングには、個人や企業にとって様々なメリットがあります。以下に主なものを挙げます。

個人のメリット

市場価値の向上

新しいスキルを身につけることで、自分の能力や価値を高めることができます。これは、キャリアアップや転職にも有利に働くでしょう。

自己実現の達成

新しいことに挑戦することで、自分の可能性を広げることができます。また、学び続けることで、自信や満足感を得ることができます。

補助金の活用

国や自治体などが実施しているリスキリング支援制度を利用することで、学習費用や収入補償などの経済的な負担を軽減することができます。

企業のメリット

人材不足の解消

新規採用ではなく、既存の社員に新しいスキルを身につけさせることで、人材確保や育成のコストや時間を削減することができます。

生産性や業績の向上

新しいスキルを活かした業務効率化やイノベーション創出により、企業の競争力や収益性を高めることができます。

従業員のエンゲージメントの向上

社員にキャリア形成の機会を提供することで、社員のモチベーションやロイヤルティを高めることができます。

リスキリングを実施する際の注意点

リスキリングには多くのメリットがありますが、実施する際には以下のような注意点もあります。

アンラーニングが必要な場合もある

新しいスキルを身につける前に、今までの知識や方法論を一旦捨てる必要がある場合もあります。これは、アンラーニング(Unlearning)と呼ばれるプロセスです。アンラーニングは、柔軟性や創造性を高めるために有効ですが、同時に困難さや抵抗感も伴います。

モチベーション維持に気を付ける

仕事と並行して学習する場合は、時間的・精神的な負担が大きくなります。そのため、学習意欲や目標設定が重要です。また、学習仲間やメンターなどのサポートも有効です。

課題解決に結びつく教材を選ぶ

学習する内容は、自分の仕事や目指す職業に関連するものであることが望ましいです。また、単に知識を詰め込むだけではなく、実際に業務で役立つスキルやツールを使えるようになることが重要です。そのため、実践的な教材やプロジェクトを選ぶことがおすすめです。

リスキリングで何を学ぶべきか?

リスキリングで何を学ぶべきかは、個人の目標や興味、現在のスキルレベルなどによって異なります。しかし、一般的には、以下のような分野が注目されています。

ITスキル

デジタル化が進む中で、プログラミングやウェブ開発、クラウドコンピューティングなどのIT関連のスキルは必須となっています。これらのスキルは、様々な業界や職種で活用できる汎用性の高いものです。

デジタルマーケティングスキル

インターネットやSNSなどのデジタルメディアを活用して、顧客との関係構築や商品・サービスの販売促進を行うスキルです。SEO(検索エンジン最適化)やSEM(検索エンジンマーケティング)、SNS広告やメールマーケティングなどがあります。

データ分析スキル

ビッグデータやAIなどの技術を使って、膨大な量の情報から有益な知見を引き出すスキルです。データ分析には、統計学や数学、プログラミング言語(PythonやRなど)やデータベース(SQLなど)などの知識が必要です。

英語スキル

グローバル化が進む中で、英語は国際的なコミュニケーションやビジネスにおいて欠かせない言語です。英語力を高めることで、海外との取引や交流、海外での就職や留学などの可能性が広がります。

コミュニケーションスキル

人と円滑に関わるために必要なスキルです。コミュニケーションスキルには、話し方や聞き方、表現力や説得力、交渉力や協調性などが含まれます。コミュニケーションスキルは、チームワークやリーダーシップ、プレゼンテーションなどにも役立ちます。

業務効率化スキル

仕事を効率的に進めるために必要なスキルです。業務効率化スキルには、タイムマネジメントやプロジェクトマネジメント、問題解決力や改善力などが含まれます。また、エクセルやワードなどのオフィスソフトや、RPAやチャットボットなどの業務自動化ツールの使い方も重要です。

 

リスキリングのおすすめ資格

リスキリングで学んだスキルを証明するためには、資格を取得することが有効です。以下に、リスキリングでおすすめの資格をいくつか紹介します。

Python3エンジニア認定基礎試験

Pythonは、AIやデータ分析などに広く使われるプログラミング言語です。この試験は、Pythonの基礎的な知識や技能を測るもので、初心者向けの資格です。

Webアナリスト検定

Webアナリストとは、WebサイトやSNSなどのデジタルメディアのデータを分析し、マーケティングや改善策に活用する人のことです。この検定は、Webアナリストに必要な知識や技術を評価するもので、3級から1級まであります。

ビジネス統計スペシャリスト

ビジネス統計とは、ビジネスにおけるデータ収集や分析、解釈などを行うための統計学の応用分野です。この資格は、ビジネス統計に関する知識や技能を認定するもので、初級から上級まであります。

TOEIC

TOEICとは、英語でコミュニケーションを行う際に必要な聴解力や読解力を測るテストです。TOEICのスコアは、英語力の証明として国内外で広く認知されています。

コミュニケーション検定

コミュニケーション検定とは、話し方や聞き方などのコミュニケーション能力を測る検定です。コミュニケーション検定には、初級から上級まで5段階あります。

MOS

MOSとは、マイクロソフトオフィススペシャリストの略称で、エクセルやワードなどのオフィスソフトの操作能力を証明する資格です。MOSには、エクセルやワードなどの各種試験があります。

勉強をする際のポイント

リスキリングで学習する際には、以下のようなポイントを意識すると効果的です。

目標を決めて細分化しよう

学習する目的や期限を明確にしましょう。また、目標を小さく分割して具体的にしましょう。例えば、「Pythonの基礎を3ヶ月でマスターする」という目標なら、「1週間で変数や関数を理解する」「2週間でリストや辞書を使えるようになる」などと細かく設定しましょう。これにより、学習の進捗や成果が見えやすくなります。

目標から必要になるものを選ぼう

学習する内容や教材は、自分の目標に合わせて選びましょう。例えば、「Webアナリストになりたい」という目標なら、「Webアナリスト検定」のテキストや問題集、「Googleアナリティクス」の使い方などを学びましょう。また、自分のレベルに合ったものを選ぶことも大切です。難易度が高すぎると挫折しやすく、低すぎると学習効果が低くなります。

勉強方法を工夫しよう

学習する時間や場所、方法は、自分に合ったものを見つけましょう。例えば、朝型か夜型か、静かな場所か賑やかな場所か、一人で勉強するか仲間と勉強するかなどは個人差があります。また、単に読んだり聞いたりするだけではなく、書いたり話したりすることで記憶に定着させることも効果的です。

リスキリングの事例

海外では、リスキリングに取り組む企業や政府が多くあります。以下に、代表的な事例を紹介します。

アマゾン

世界最大のオンライン小売業者であるアマゾンは、2025年までに10万人以上の社員に対してリスキリングプログラムを提供すると発表しました。プログラムの内容は、AIやクラウドコンピューティングなどの高度な技術から、カスタマーサービスや管理職向けのスキルまで多岐にわたります。

シンガポール政府

シンガポール政府は、国民全体のリスキリングを推進するために、「SkillsFuture」という制度を導入しました。この制度では、25歳以上の国民に対して500シンガポールドル(約4万円)相当の学習クレジットを付与し、自由に教育機関やコースを選んで学習できるようにしています。

BMW

ドイツの自動車メーカーであるBMWは、電気自動車や自動運転などの新技術に対応するために、従業員約12万人のリスキリングを行っています。BMWは、オンライン学習プラットフォームやバーチャルリアリティなどを活用して、従業員に最新の知識やスキルを提供しています。

まとめ

リスキリングとは、新しいスキルを身につけて新しい職業に就くことです。リスキリングには、個人や企業にとって様々なメリットがありますが、実施する際には注意点もあります。リスキリングで学ぶべき分野や資格は、自分の目標や興味に合わせて選びましょう。また、学習する際には、目標設定や勉強方法などを工夫することが効果的です。海外では、リスキリングに取り組む企業や政府が多くありますが、日本でもリスキリングの重要性が高まっています。自分のキャリアや将来に向けて、リスキリングに挑戦してみましょう。